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編集室から、今月のブログ 編集室のスタッフが、取材の途中で感じたこと、取材先で仕入れたとっておき情報、また取材の現場のこぼれ話などを、毎月お届けしていきます!

梅散歩。

2022.03.15 更新

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梅散歩。

「梅は岡本、桜は吉野、みかん紀の国、栗丹波」
「梅は岡本、桜は生田、松の良いのは湊川」
阪急神戸線岡本駅の山手は、かつてはこんな歌が詠まれていた梅の名所。1798年ごろに紹介された「摂津名所図会」に、観梅を楽しむ庶民の様子が紹介されているのがその証拠です。明治に入ると電車が開通し、電車を降りて、人力車で梅見に通ったとか、昭和の初めには阪神電車の臨時駅ができるほど観梅客でにぎわっていたと言います。 
1929年、文豪の谷崎潤一郎が、鎖瀾閣(さらんかく)と呼ばれる自邸を建てたのも、本山村梅ヶ谷という地名がつけられたこのあたり。やがて阪神大水害や空襲によって梅林は姿を消し、鎖瀾閣も阪神・淡路大震災で全壊という悲劇に見舞われます。

そんな町を、もう一度梅の名所に!と、住民の願いによって、海を見下ろす高台に岡本梅公園がつくられたのは、今からちょうど40年前。開園当初は背丈も低く数も少なかった梅の木が今は、40品種200本を数えるまでに! 恒例の梅祭りは、昨年に続いて今年も中止になったものの、相変わらず駅の方からは、家族連れや一眼レフカメラをぶら下げた人たちが続々と ああ、春がやっと来たなと感じます。

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   ピンクや白の花びらが混じり合う向こうに、大阪湾を望む岡本梅公園。

sation_2203_d2.jpgsation_2203_d.jpg梅祭りのポスターには、「摂津名所図会」(1798年)が。残念ながら、今年も中止に。


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実は、この公園の横に、阪神淡路大震災で倒壊してしまった谷崎邸を復元しようというプロジェクトが持ち上がったことがありました。楽しみにしていたのに、頓挫してしまったとか。街の文化を伝えていく素敵な拠点になっていたことでしょうに...と悔やまれます。 

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関東大震災を逃れて関西にやって来た谷崎潤一郎は、滞在した21年の間に13回も借家を転々とした引っ越し魔だったそう。作家として成功し、念願だった持ち家のデザインを自ら手がけたのが、梅ヶ谷に佇む鎖瀾閣(さらんかく)と言われています。彼の美意識が随所に散りばめられた名建築は、欄間や障子などを使って巧みに光を取り入れた、まさに『陰翳礼讃』のそのもの。一度見ておきたかったなぁ。(写真は阪神・淡路大震災で倒壊する前の姿)。

さて、岡本の梅散歩はこの公園が終着点ではありません。元気があれば、ぜひ、公園東側の整備された散策路を15分ばかり歩いて、以前にもこのブログでご紹介した山上の保久良神社の梅林へ! こちらも、かつての梅林復活の思いを込めて1975年に植樹された隠れた名所です。

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   神社の境内横の保久良梅林。

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梅林横の神社に参拝したら、一気に坂を下りて阪急岡本駅へ。約2時間ばかりの梅散歩のフィナーレは、駅前のおそば屋さん。梅そばとビールで、春に乾杯!(甲南そば)

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スイーツのお店にも、かわいい梅のマカロンが並んでいました。赤い梅には梅ジャムをサンド、青い梅には梅酒をほろりときかせて(ガトーエモア)。

梅は咲いたか? 桜はまだかいな♪ ということで、お待たせしました!ステーション4月号は恒例のお花見特集号です。昨年に続き、密になりにくく、ゆったりお花見が楽しめる名所をご紹介しています。取材は1月。スタッフが一生懸命探してきた立ち寄りたい周辺のお店もご紹介。ぜひお出かけくださいね。

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コロナの憂鬱を桜景色がぱっと晴らしてくれますように。海の向こうの戦いの地にも、穏やかな春が一刻も早く訪れますようにと祈るばかり。アマビエさん、そろそろマスクを外させてくださいな。私はワクチン接種の副反応でフラフラです。4回目接種がどうかありませんように。

(M・O)

★5月号のブログの更新日4月10日です。

★編集室スタッフ5人が交替で登場します。お楽しみに!

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